この記事の内容
- 「海街チャチャチャ」エピソード1-12までの流れ
- ホン班長の「空白の5年間」関連シーンのまとめ
- ホン班長の過去がなかなか明かされない理由
2021年10月3日現在、エピソード12(全16)まで配信されている「海街チャチャチャ」。
恋人同士となったホン班長とへジンの関係は順調そのもの。
しかし何か物足りない。
それは、序盤から仄めかされていた「ホン班長の過去」がなかなか明らかにされないからだ。
ホン班長とへジンのイチャイチャを見ていると「ホン班長の過去」は、もうどうでもいいような気持ちにもなってくるが、そうはいかない。
ここでは、ホン班長の過去、「空白の5年間」について思うところを綴ってみたい。
ホン班長の過去「空白の5年間」に関する部分からご覧になりたい方かこちらからどうぞ。
エピソード1から12までの流れを整理
まずはエピソード12までの内容を整理する。
エピソード1-2「出会い、そして、郷に入っては郷に従え」
エピソード1-2では、歯科医ユン・へジンと海街コンジンに暮らすホン班長の出会い、そしてコンジンで新しい暮らしを始めたへジンの戸惑いなどが描かれる。
へジンは、地元人ホン班長のペースに巻き込まれるのが面白くない。また、彼女は都会人としての価値観を振りかざし街の人々とも気まずい雰囲気。
それを見かねたホン班長の気遣いによって、街の人たちと交流ができるようになるという展開。
エピソード1-2では、ホン班長のいい人っぷりが強調され、へジンはどちらかといえばイヤな女として描かれる。
エピソード3-4「事件やトラブルは、ホン班長が何でも解決」
ホン班長のサポートのおかげで、コンジン住民たちに受け入れられたへジン。彼らとの関係も改善し、歯科医経営も軌道に乗り始める。
エピソード3-4では、海街コンジンの長閑な風景を背景に、住民たちとの距離を縮めるへジンの様子が描かれる。
ホン班長に対しては相変わらずトゲトゲしいへジンだが、彼女がトラブルに巻き込まれる度にホン班長は全力で助ける。
そんなこんなで少しづつ距離を縮めていく二人だが、ある日酒に酔ったへジンはホン班長にキスをしてしまう。
さて、エピソード3-4においても、へジンはイヤな女の片鱗を残すが、正義感や責任感が強い一面もクローズアップされ、強い女としての魅力も強調される。
一方、何でも器用にこなす、頼りになる男「ホン班長」は、持ち前の気さくさや優しさで魅力炸裂。心をなかなか開かないへジンを辛抱強く見守る姿も視聴者を魅了する。
エピソード5-6「素直になれない大人の二人」
エピソード5-6では、(本当はお互い気になっているのに)ぶつかり合うへジンとホン班長のもどかしい関係性が描かれる。
へジンはホン班長宅に泊まったことが街の噂になったことで、開きかけた心を閉じてしまう。
また、ホン班長を意識するあまり、彼の前では相変わらずイヤな女っぷりを発揮。「感謝してるけど、一定の距離は保って」と言い放つ。
へジンが変わるのを辛抱強く待っていたホン班長を期待を裏切った形だ。
なかなか素直になれないへジンだが、内心はホン班長が気になっている。そしてそれはホン班長も同じこと。
そんな二人の関係を変える人物、へジンの大学時代の先輩「チPD」が、ここで投入される。
エピソード7-8について「三角関係は恋を燃え上がらせる」
ここからは三角関係のターム。
エピソード7-8はチPD祭り。へジンをめぐる緩い三角関係がコミカルに描かれる。
チPDの前では素直なへジンの態度に、ヤキモチを妬くホン班長。
一方、無駄にいい奴であるチPDは、初恋の人へジンに向かって一直線。
チPDの登場によってホン班長の気持ちに変化が起きる一方で、へジンにトラブルが。
夜道で誰かに追われていると感じたへジンが恐怖に慄いている時、目の前に現れたのがホン班長。
思わず彼に抱きついてしまうへジンとそれを受け止めるホン班長。
二人の関係はこの場面を境に、確実に次のフェーズに入った。
エピソード9-10「抑えられない想い」
エピソード9-10ではへジンの父が登場。へジンとホン班長の幼少時代に触れつつ、ヒートアップした三角関係の続きが描かれる。
再び事件が発生。見知らぬ男がへジン宅に侵入する。
それを助けるのはもちろんホン班長。ホン班長は体を張ってへジンを守る。
一方、チPDは自身の想いを伝えるべく、へジンに告白。
それを受け自分の気持ちと向き合うへジンは、ホン班長への気持ちを確信。ついにホン班長に告白する。
この辺りでへジンの良さがようやく開花する。
物語前半に見せていたイヤな女を封印し、小出しにしてきた彼女の良き面や可愛さがググっと前面に押し出される。
視聴者も安心してへジンを応援できる体制が整った。
エピソード11-12「甘い季節」
エピソード11-12は視聴者へのサービス回。へジンとホン班長のイチャイチャが延々と。どんな無理もわがままも聞いてくれるホン班長のヨキ彼氏っぷりを堪能。
恋人同士となったへジンとホン班長は恋の季節まっしぐら。
親友のミソンも警察官ウンチョルと付き合うことになり、とにかくみんな浮かれてる。
このように、へジンとホン班長の恋は最終回まで引っ張ることなく、エピソード10で成就する。
エピソード11−12はサービス回として別枠だとしても、あと4エピソードでいったいどういう展開が待っているのか。
そろそろ「ホン班長の空白の5年間」が明かされなければ話は進まないはず。
いくつかのエピソードで断片的に描写されてきたホン班長の「空白の5年間」だが、情報量は非常に少ない。
次の章ではホン班長の「空白の5年間」に焦点を当てて考察する。
断片から妄想するホン班長の「空白の5年間」
ホン班長の「空白の5年間」を仄めかす場面
ソウル大学を卒業してからの5年間、ホン班長が何をしていたか、誰一人知らない。
この「ホン班長の知られざる過去」は「海街チャチャチャ」鍵となるはずなのだが、なかなかその全容は描かれない。
ここでは、断片的に描写された「過去」についてエピソード毎に整理してみたい。
エピソード3
- ソウルのメンタルクリニックへの通院
- 悪夢から目覚め、薬を飲む
一番最初にホン班長の過去が仄めかされたのは、エピソード3。
ソウルに出かけたホン班長がメンタルクリニックに入っていくシーンがそれ。
その後、嫌な夢を見て目覚めたホン班長が、恐怖を鎮めるために薬を飲む場面が登場。
それがクリニックのシーンとリンクする。
エピソード5
メンタルクリニックでの医師との会話
しかし、エピソード3で描写された「メンタルクリニックの答え」はなかなか明かされない。
エピソード5になってようやく、メンタルクリニックに入った後のシーンが描かれる。
「最近も同じ悪夢を見ますか?」という医者の問いに、今まで見せたことのない暗い表情で「はい」と答えるホン班長。
その悪夢とは、これまでの「海街チャチャチャ」が放っていた明るいトーンとは相いれない世界。
暗闇の中で彷徨うホン班長は、血のついた手で肩を叩かれる。恐る恐る振り返ると・・・というところで目が覚める。
闇の中にいるホン班長は、文字通りホン班長の心の闇(傷)を物語っており、彼が抱える闇の深さを暗示している。
エピソード6
本に挟まれた写真
エピソード6でようやく、ホン班長の心の闇に関する具体的なヒントが明示される。
それは、本に挟まれた一枚の写真。
ホン班長が、本を開きその写真を見つめる。
写真には、一組の男女が赤ん坊を抱えて写っている。
女は笑顔、男の顔は本のページに隠されて視聴者には見えない。
この、顔が見えない男こそが、ホン班長であろうと誰しもが考える。
つまり、彼には妻と子供がいたということなのだろうか?
しかし、一瞬しか描写されないこのシーンは、物語大部分を占める、明るくドタバタなエピソードの中に埋もれていく。
エピソード7
酔ってつぶやいた言葉「俺を置いて行くな」
エピソード7では、酔ったホン班長がへジンの肩にもたれかかる場面がある。
そして涙を流しながらにこう言うのだ。
「行くな 俺を置いて 行くな」
ホン班長が、かつて大切な人を失ったであろうことがここで示唆される。
そろそろホン班長の過去が明らかになってもよい頃だと視聴者は感じているが、そうはならない。
物語はホン班長とへジンの恋のチPDを交えた三角関係に引っ張られ、ホン班長の心の闇は後回しとなる。
エピソード9
- メンタルクリニックでの医師との会話
- 成人したホン班長が葬式に行く回想シーン
エピソード9では再びメンタルクリニックの場面が挿入される。
医師から「あなたの大切な人たちが、皆あなたの元から去っていくと思っているか?」と問われたホン班長。
絶望的な表情で「全部 俺のせいだ」と答えるのだ。
その根拠となる出来事のうち、視聴者が既に得ている情報はのひとつは、ホン班長が両親を幼い頃に亡くしていること。
二つ目は、自分を育ててくれた祖父の死。
祖父が死んでしまった理由については、祖父の法事の際にホン班長がへジンに自ら説明をしている。
それは、自分がサッカーの応援で家をあけていたせいで、倒れた祖父をすぐに病院に運べなかったからというもの。
彼はそのことに関して自責の念を感じている。
そして、最後に、物語にはまだ登場していない「ホン班長の大切な誰か」の死だ。
それは大人になったホン班長が喪服を来て葬式に行く場面によって表現されている。
そして、彼はその「大切な誰かの死」に対して責任を感じている。
確かに闇は深そうだ。
エピソード9では、ホン班長がへジンの父との会話の中で「彼女(へジン)は温かいひとだから いつか隣に いい人が現れることをいのっている」と語る場面がある。
この時点では、心の傷(闇)ゆえに、ホン班長は誰とも付き合う気がないのでは?と思った。
ところがだ。
エピソード10でへジンの告白されるとそれを受け入れ、自分の気持ちも素直に伝える。
「心の傷は?」と心配になったが、エピソード11-12の浮かれっぷりを見て、ホン班長に心の傷があることを忘れてしまいそうだった。
エピソード12
- 悪夢を見る
- 大学の先輩との再会
エピソード12では、珍しくエピソード序盤に悪夢の場面が挿入される。
悪夢。
そこは再び闇の中。
一人彷徨うホン班長。そして、泣き叫ぶ子供の声。
そこにもう一人の自分(ホン班長)が現れ、暗い表情でこう言うのだ。
「幸せ? お前にその資格が?」
と、そこで目が覚める。
へジンと幸せな時間を過ごしても、「心の闇(傷)」はゾンビの如く蘇ってくる。
そして、ソウルで再会した大学の先輩も何か事情を知っているはず。
いずれにしても、ホン班長の「心の闇(傷)」を披露する準備は十分過ぎるほど整っている。
ホン班長の「空白の5年間」はなぜ簡単に明かされないか
それにしても「引っ張りすぎ」な感があるホン班長の空白の5年間。
でもきっと、物語の展開上「ここまで引っ張る」必然性があったのだろう。
もしハッピーエンドの王道を行くなら、もう少し三角関係を掘ってみるとか、へジンとホン班長の気持ちのすれ違いを描くとかして、エピソード16(最終話)で恋人同士になるという展開でもよかったはず。
でも、そうしなかった。
エピソード10で早々に恋人同士になったということは、もうひと一波乱用意されているということだ。
そしてそれは「空白の5年間」が軸になって起きる波乱であることはほぼ間違く、つまりそれはホン班長という人物の「心の闇=本質」に迫ることだ。
この扱いによってドラマの深みが如何様にも変わってくる。
勝手な想像だが、へジンの助けによってホン班長が「深い心の傷」を克服するという展開を想定しているとしよう。
その場合、へジンとホン班長の関係性もそれなりに深くなければ、説得力に欠けると考えたのではないだろうか。
そのために早々に(エピソード10)で二人を恋人同士として心通わせ、ホン班長の心の闇(傷)に対峙する土台づくりをした。
よって、その土台づくりが終わるまで、ホン班長の過去である「空白の5年間」を明かさなかったという流れなのでは?
ともあれ、エピソード12までのホン班長の過去の断片から妄想した、展開パターンは以下のとおり。
ホン班長の心の傷を妄想
- ホン班長はかつて結婚をしていて子供がいた(写真の女と赤ん坊)。その二人を事故などの理由で失った。そこにはホン班長が「俺のせい」と思ってしまうような出来事が絡んでいる。
- ホン班長にはかつて恋人がいて、その恋人には子供がいた(写真の女と赤ん坊)。その二人を事故などの理由で失った。そこにはホン班長が「俺のせい」と思ってしまうような出来事が絡んでいる。
- ホン班長には恩人、あるいは心から信頼する心の支えだった人がいた(写真の女と赤ん坊、そして顔が写っていない男)。彼らを事故などの理由で失った。そこにはホン班長が「俺のせい」と思ってしまうような出来事が絡んでいる。
いずれにしても、手がかりはエピソード6で登場した写真とエピソード9のお葬式のシーン。
ちなみに、2️⃣や3️⃣のように、子供がホン班長の子供ではないと考えた理由は、エピソード12の「悪夢」のシーンにある。
子供の泣き叫ぶ声がする闇の中で、ホン班長は「へジナ!」とへジンの名前を呼んでいる。
もし自分の子供なら、この場面で現在の恋人の名前は叫ばないんじゃないかと。
そして、もし上記の妄想が当たっていたとして、
「心の傷(闇)が再燃したホン班長はへジンから一時逃避し距離を置く→へジンは傷つきながらもホン班長を理解しようと努力し支える→結果、ホン班長は心の傷(闇)を克服していく」
的な展開を妄想。
何はともあれ、癒しのドラマである「海街チャチャチャ」に暗い展開は似合わない。
最後は前向き&ハッピーに終わって欲しいと願いつつ、残り4エピソードの配信を心待ちにするのであった。
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