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『イカゲーム』001番- オ・イルナムからみるゲームの世界、そして人生

2021-10-22

Netflixドラマ「イカゲーム」が世界中でヒットしている。

先日、「イカゲーム」と「今際の国のアリス」の相違点からみる両ドラマの考察と、「イカゲーム」の面白さについて解説した。

今回は、登場人物の中で唯一の老人参加者である、001番オ・イルナムに焦点を当て、オ・イルナムから見る「イカゲーム」について考察したいと思う。

この記事はネタバレを含みます。「イカゲーム」視聴後にお読みください。

この記事の内容

  • 「イカゲーム」001番「オ・イルナム」という男の正体について
  • オ・イルナムの正体を知った上で「イカゲーム」を検証・考察
  • ギフンを演じたイ・ジョンジェの出演作品について

オ・イルナムという男の正体

まずは、ゲーム参加者であるオ・イルナムについての情報を整理したい。

主人公ギフンと共にゲーム参加者として登場する彼は、どこからみても「ただの老人」だ。
そして、ゲームに参加しているということは借金を抱えて人生の崖っぷちにいるはずだが、オ・イルナムにはその切実さが感じられない。
実際のところ、彼は他の参加者とは立ち位置が異なるのだ。


オ・イルナムの正体は、最終話で初めて明かされることになるのだが、ここでは、その正体を知った上でエピソード1からエピソード6までを振り、ドラマの伏線を紐解いて行きたい。

その前にオ・イルナムの正体を明らかにしておく。

オ・イルナムの正体

  • このゲームの主催者である
  • 貸金業を営む(ゲーム参加者である債務者の情報を把握している立場)
  • 脳腫瘍を患い余命わずか
  • かつて妻・息子と共に裏路地にすんでいたことがある(一代で貸金業で成功したことを示唆する)

主人公ギフンをはじめ、多くの視聴者が知りたいのは「なぜ、あんな残酷なゲームを開催したのか」ということ。

それに対するイルナムの彼の答えはこうだ。

金が有り余っている者は 何を買ったり食べたり飲んだりしても 結局はつまらなくなってしまう

だから考えてみた

「何をすれば少しは楽しいと思えるか」をな


つまりは「楽しいこと」を求めてデスゲームを開催したということ。

これだけでも常軌を逸しているのに、観客としてゲームを楽しむだけでは物足りないイルナムは、自分も参加者になることで、よりアクティブに「生きる楽しみ」を味わいたいと考える。

そして、イルナムはそれを実行した。

もちろん、運営者はイルナムが「001番」で参加することを知っている。
よって、「001番」だけはゲームに負けても殺されることはないというルールになっていたはず。

これがオ・イルナムの正体だ。


それを知った上で、このドラマに仕掛けられた伏線を紐解きつつ、オ・イルナムから観たゲームの世界について考察する。

オ・イルナムの正体を知った上で振り返る「イカゲーム」

【Ep1】 ギフンとの出会い・そしてゲームに参加することの喜び

オ・イルナムは、ゲーム参加者として皆と同じく緑色の運動着を着て登場する。
運動着の番号は「001番」

イルナムと、人の良さそうな男、ソン・ギフンとの出会いは、監禁された大部屋のベッドの上。
ここからイルナムが待ちに待った「遊び」が始まる。



イルナムの表情は高揚し、これから始まる「遊び」に心躍る様子が見て取れる。
主催者である彼は、当然のことながらこの異常な状況(広い空間に監禁され同じ運動着を着せられていること)に驚いている様子はない。
ただただ、ワクワクしているのだ。


ギフンとの出会いは単なる偶然だろう。
しかし、イルナムにとってギフンはなくてはならない存在となっていく。

さて、第一関門となる最初のゲームは「だるまさんがころんだ」
誰もが知っている子供のゲームだが、そのルールは極めて残酷。
脱落者はその場で射殺されるという、究極のデスゲームだった。

この恐ろしいゲームルールを理解した参加者たちは、当然ながら恐怖に慄き、凍りつく。



しかし、イルナムだけは嬉々としてゲームに参加する。
死の恐怖に怯え震え、体が動かないギフンとは対照的。
まさに子供が「だるまさんがころんだ」を本気で楽しんでいるかのような姿を見せる。

そして、第一関門であるこのゲームをクリアしたイルナムは、恍惚の表情を浮かべ、命懸けのゲームに勝ち残ったことの喜びを全身で受け止める。
これこそが彼の求めていた「楽しみ」だった。

彼の表情は、他の参加者の表情、つまりは恐怖と命からがら逃げ切った安堵感入り混じった顔とは真逆

これから先、ゲームに勝つ度に見ることになるイルナムの恍惚の表情は、彼の正体を知らない視聴者を惑わせることになる。
それが達成感からなのか、それとも余命わずかな彼にとって「命の価値」がそれほど高くないからなのかがわからない。
まさかそれが「遊びが楽しかったから」であることなど想像すらできない。

彼の笑顔はそういう意味で「伏線のジャブ」のようなものだと思う。

【Ep2】日常世界ではイルナムがギフンの背中を押す

第一関門、「だるまさんがころんだ」の残酷な仕打ちに慄いた人々は「ゲーム中断」を投票によって決定する。

結果は1票差で「ゲーム中断」が決定。

そして、その勝敗の行方を決めたのはイルナムの最後の1票。
彼は楽しみにしていたゲームを中断する道を選ぶ。

ところで、生きる楽しみを求めた彼が「ゲーム中断」を実行したのはなぜか。

それは崖っぷちにいる参加者たちが日常の地獄に耐えられず、賞金を求めて再び戻ってくることを知っていたからに他ならない。
また、強制的にゲームに参加させるのは避けたいという思惑もあったはず。
あくまで「自発的にこのゲームに参加した」ということが、イルナムが重要視する「ゲームのルール」なのだ。
自分が投じる最後の1票で「強制的に参加させられた」と感じる参加者を排除したかったのだと考えられる。

しかしその一方で、日常世界に戻された後、イルナムはわざわざギフンに会いに行っている。
劇中では偶然に再会したことになっているが、イルナムが黒幕であることを考えればこれが偶然だったとは思えない。

そして、ギフンに再会したイルナムは彼にこう言うのだ。

私は また行くことにした

どうせ長くは生きられないんだし このまま死ぬのを待つだけなんてイヤだ

私が優勝する可能性だって あるかもしれないだろ?

外に出てみたら 彼らの言うことが正しいとわかった

こっちのほうが地獄だ

イルナムがギフンにわざわざこの言葉を伝えるには理由があったはず。
絶好の「遊び相手」であるギフンが戻って来なければ、「遊び」の楽しさも半減する。
つまり、遊び相手を確保するために、迷っているギフンの背中を押すことが本来の目的ではなかったか。

実際のところ、最終回で「なぜ自分を生かしたか」とギフンに問い詰められたイルナムが「楽しかったからさ 君と一緒に遊ぶのがな」と答えている。

一方、「こっちのほうが地獄だ」という彼の言葉は本心なのだと思う。
最終回でイルナムがギフンに告げた通り、多重債務者の地獄と成功者の地獄は、「人生がつまらない」あるいは「生きるのが苦しい」という意味においては同等レベルなのだ。


いずれにしても、本当の地獄に「遊び友達」を誘ったイルナムには、いざとなればギフンを救える力がある。
が、本当に救うか否かはイルナムの考え方次第。ギフンは完全に彼の手のひらで転がされている。

【Ep3】イルナムの余裕・そして素晴らしき笑顔

第二関門は「型抜きゲーム」

参加者は型抜きゲームだとは知らずに、まずは「形」を選ばなければならない。

この「形選び」が生死を分けることは間違いないのに、イルナムは自分からそれを選ぶようなことはしない。
「君が選べ」と言ってギフンに選ばせるあたり、イルナムの余裕が垣間見える
このような細かい言動も、彼の正体を知った上で視聴するといちいち意味があるように感じる。



とはいえ、この行動は視聴者にとって不自然に映らない範疇だ。
ドラマの展開としては、この段階においてイルナムに関心を集めたくないはずで、ここでは「ただの老人」としての存在を強調する。

さて、劇中では、イルナムがゲームの内容を知っているか否かについて、ハッキリと描かれていない。

が、おそらく、黒幕としてゲームの内容の想像はついたとしても、明確にその詳細を知っているわけではないと考えられる。
なぜなら、イルナムが型抜き用のカルメ焼が入った缶蓋を開けた瞬間、驚きの表情を見せているからだ。

また、彼のゲーム参加の動機である「遊びを楽しみたい」を鑑みれば、ゲーム内容について聞いていないと考えるのが妥当。
もし、ゲームの内容を事前に知ってしまっては、遊びの楽しみが半減してしまう。
そもそも彼が欲しているのは賞金ではなく「遊びを楽しむこと」なのだから。

話をゲームに戻すと、「型抜きゲーム」において、ギフンは最も難易度高いものを選んでしまう。
が、苦戦しながらもカルメ焼を「舐める」という技を見出し、なんとかゲームをクリアする。

その様子を見てゲームクリアのヒントを得たイルナムも、カルメ焼を舐めて舐めて舐まくる。
その結果、無事、制限時間内に型抜きを成功させた。

そして型抜きが成功した瞬間、イルナムは例の「すばらしき笑顔」を見せる。



イルナムからすれば「型抜きゲーム」の成功はギフンのおかげ。そいう意味でギフンの株は上がった。
加えて、老人であること(=体力のなさ)から仲間として望まれないイルナムを、快くグループに引き入れ歓迎するギフンを更に気に入ったのは間違いない。

【Ep4】イルナムが参加者同士の殺し合いを止めることができた理由

エピソード4では、少ない食料を巡り喧嘩が勃発。
それをきっかけに参加者同士の殺し合いが始まる。

地獄と化したその場所で、人々は自分を守るために戦い逃げ惑う。

体力では一番劣るであろうイルナムを心配するギフンとその仲間は、彼を守るべく彼を探すが姿が見えない。
が、イルナムはなんと高く積み上げられたベッドの上にいた。

さて、ここで疑問が生じる。
こんな高いところまでイルナムは自分で登ったのだろうか?
暗闇の中、老人の体力でそれは可能だったのだろうか?

考えられるのは、運営側の手助け、あるいは老人でも高いところに簡単に登れるような抜け道があったのではないかということ。

なぜなら、この殺し合いは偶発的に始まったわけではないからだ。

運営者は食料を十分に与えないことで諍いの種を作り、想定通り殺し合いが始まった後、フロントマンの掛け声「開始」によって明かりを点滅させるなどの演出を始める。
また、部屋の外には殺された参加者の死体を運ぶべく、「赤い人たち」が待機している。
つまりこれは、ゲームプログラムにあらかじめ組み込まれた殺し合いであり、計画通りということ。
(実際のところ、臓器摘出を秘密裏に行う医者(参加者)に、「弱いものを排除しておくためのゲームの一部」と赤い人が説明する場面もある)

この状況において、一番体力のない老人が狙われ殺される確率は高く、運営者があらかじめイルナムを安全な場所に移しておいたと考えるのが自然ではないか。

そして、このゲームの終了の合図が、安全な場所から叫ぶイルナムの声「お願いだ やめてくれ!」であった点からも、そのことに矛盾はない。

イルナムの正体を知らずに見ていた時には、「この殺し合いは、誰かが「やめてくれ」と懇願ことで終了するという ”決め” が運営側にあったのだろう」と考えた。
実際のところその通りなのだけど、もっと厳密にいえば「イルナムがやめてくれと叫ぶこと」でゲーム終了というルールだったのではないかと想像する。

さて、第三関門は「綱引き」

人間の生死を分けるのが綱引きとは滑稽すぎるが、このドラマの怖さはゲームが単純なことにある。
誰もが理解できる簡単なゲーム、つまりは子供が興ずるゲームを大の大人に行わせ、「命」という最も重いもを賭けさせる。
この対比が残酷さを際立たせているのだ。

話をゲームに戻す。

綱引きでは、イルナムの経験がものをいう。
それまで足手まといとして見られていたイルナムが、最も輝く場面だ。

そして綱引きで勝利した時の彼の表情がまたすごい。
皆、力と気力を使い切り、肩で息をしながら呆然としているのに対し、イルナムの表情の晴れやかなことよ(この場面はEp5で描かれる)。

ここは全員の表情が抜かれるシーンでもあり、イルナムと他の参加者の表情の対比は、視聴者の印象に強く残る。

しかし、一視聴者として、イルナムが黒幕とはカケラも思っていない私は、この時点では「このおじいさんは、自分が役に立ったことの嬉しさと達成感を感じているんだな」「余命わずかということもあって死への恐怖が薄いのかも」などと相変わらず単純に解釈していた。

【Ep5】他の参加者と一線を画する「001番」オ・イルナム

就寝時間に他の参加者に襲われることを警戒し、見張り役を立てることにしたイルナムのチーム。
イルナムはギフンと一緒に見張り番をすることになる。

二人並んで見張りをしながら、ギフンの身の上話を聞くイルナム。
参加者の情報を全て握っているイルナムなら既に知っている話だったかもしれないが、それでも、イルナムはギフンを思いやる態度を見せる。

ここで描かれているのは、イルナムとギフンの心の交流だ。
彼らの間にうっすらとでき始めた仲間意識が、後のゲーム対戦に少なからず影響を与えることになる。

さて、ここでイルナムは体調を崩してしまう。
気がつけば「オネショ」をしており、恥ずかしくてベッドから起き上がれない。

この出来事は、次のエピソードで描かれる「ギフンを生かそうとするイルナムの行動」のきっかけとなる。

さて、エピソード5ではイルナムが黒幕であることの重要なヒントが描かれる。
それは、兄を探すために潜入した刑事が発見した、参加者の個人情報が記載されたファイルにある。

刑事は2020年の参加者リストを最初のページを捲るが、「002番」から始まっているのだ。

つまり「001番」が存在しない。
これは001番であるイルナムが他の参加者と同列でないことが示している。

この辺りから、「あのおじいちゃんは、一体何者?」という疑問が立ち上がるのだ。

【Ep6】カンブとの「遊びの時間」が終わる

第四関門のゲームは「ビー玉遊び」


まずは二人組になることを命じられる参加者だが、もちろんゲームの内容は知らされていない。

その前に、エピソード5で起きた事件「イルナムのオネショ」についてその後の展開を書いておく。


オネショをしてズボンが濡れているイルナムを見かねたギフンは、自分の上着(456番)を脱いでイルナムの腰に巻き付ける。

ズボンのオネショは無事隠れたが、ギフンはただひとり半袖シャツのまま。
そしてその背中には「456番」の文字。

再び、パートナー選びに話を戻す。


前回の「綱引き」然り、仲間選びはとても重要。
誰もが力弱き老人イルナムとは組みたがらない。

それを悟っているかの如く、イルナムは寂しげな表情でずっと隅っこに座っている。

が、ある時よろよろと立ち上がり、自分の上着(001番)をギフンに渡す。

「上着がないと 周りから甘く見られてしまう」


そう言ってギフンに001番の上着を着るように促すのだ。
それこそが、まさにギフンを助けるための行動。

運営側に、ギフンをイルナム(001番)と誤認させるために仕掛けたのだ。
つまり、001番の運動着を着ていれば、たとえゲームに負けても殺されることはなく、ギフンを助けることができる。

また、イルナムは第四関門のゲームに参加するつもりはなかったはずだ。
なぜなら、残りの参加者は奇数であり、ペアになれば必ず一人が余る。
余った人間はそのことによって殺されることはなく「カクテキ」(日本の鬼ごっこでいうところの、鬼に捕まっても自由に動ける「マメ」みたいなものか?)として生き残ることができるのを知っていた。

いや、それよりも有力な説は、ここで人知れずゲームを降りることを想定していたのではないか

なぜなら、この後に続くゲームは「VIP客」という観客の前で行われるわけで、逃げ場がない。
つまり失敗したら他の参加者同様、彼も死ぬしかなくなる。
また、そもそもファイルに001番の情報がないことを考えれば、自分がゲームに参加していたことを、VIP客たちには知らせるつもりはなかったと考えるのが自然だ。

さて、一方のギフンは、そんなイルナムの思いやりと思惑を知る由もない。
イルナムの行動に心打たれたギフンは、彼をパートナーに選ぶ。

ともあれ、想定とは異なるギフンの行動によって、イルナムは再び「遊ぶ」チャンスを手に入れた。

だからこそ「カンブになろう」とギフンに言ったのかも。

しかし、運命とは過酷なもの。
ビー玉遊びはパートナーと対戦するという内容だった。

それは負けた方が死ぬということ。


それを知ったイルナムは、突然混乱しているフリをし、全くゲームを始めようとしない。

イルナムのその時の心情はどういうものだったのだろう。
この局面をどう乗り切るかを考えながら、ボケた老人のフリをしていたのだろうか。

しかし、ゲーム開始を懇願するギフンに観念したのか、ついにビー玉遊びを始める。

それにしても、対戦相手のギフンはどうしようもなく弱い。
このままでは自分が勝ってしまうと感じたイルナムは、再びボケたフリを始める。
そして、あえてギフンがズルをするように仕向け、ギフンの持ち玉を増やしていく。
終いには、自分の持ち玉の数を見せてまでギフンを勝たせる。

このゲームをしながら彼が考えていたことは「負けてやるしかない=ギフンを生かす」ということだったはず。

イルナムの本音としては、いつまでもギフンと遊んでいたかったのかもしれない。
でも、遊びが終わる時間は迫っている。

さてここで、イルナムは、彼にとっては珍しくもない現実を見せつけられることになる。
それは、ギフンでさえも、自分が生き残るためには手段を選ばないという現実。

そう、結局のところ、信じられるのは自分だけなのだ。
そういう意味でイルナムは、人間の本質や欲望を、その生涯を通して知り尽くしている。

最後の1個のビー玉を賭けて、ギフンに対戦を提案する際の問い「君が私をだまし ビー玉を奪ったことはズルくないのか?」の裏にあるのは、絶望などではなく、諦観だったと思う。

そして結局イルナムは、カンブであるギフンに最後のビー玉を譲り、ゲームを降りる。




ところで、夕方のセットの中で繰り広げられるこのゲームは、子供が遊びをやめて家に帰る時間、すなわち「遊びが終わる時間」を表現しているのだと思う。

つまりは、”イルナムにとっての楽しかった遊びの終焉”を表現している。

イルナムは最後の対戦をせず、ギフンとの遊びを終えたのだ。


さて、イルナムの正体を知らないでこのシーンを見れば、イルナムとギフンの「カンブ」な関係に感情が引っ張られてしまう。
イルナムの犠牲とギフンの罪悪感が、切なく、悲しい場面なのだ。


やがて、001番を殺すための銃声が鳴り響く。


だが、もちろんイルナムは生きている。

「最後の勝負」が意味するもの

最後のゲームは死の床についてるイルナムが仕掛ける。

イルナムが主催者だったと知ったギフンの怒りを遮り、「窓から見える浮浪者が12時までに誰かに助けられるか、それとも見捨てられるか」を賭けることを提案する。

この、条件が悪い賭けに対して一縷の望みを捨てないギフンを前に、イルナムが力なく言った言葉はこうだ。

君は まだ人を信じるのか?

あんな経験をしても

ゲームの勝者となったにもかかわらず、廃人のように生きているギフン。
それでも尚、「人を信じること」をやめていない。
それはギフンという男の核であり、彼が彼である限り変わることはないのだと思う。

一方のイルナムは違う。
彼はとうの昔に人を信じることなどやめてしまったのだと想像する。
そして自分だけを信じて生きてきた。

どちらの人生が正解は誰にも決められないが、「人を信じることのできる人生」の方が生きやすいし幸福なのは間違いない。
それはイルナム自身が身をもって体現している。


結局のところ、イルナムが本当に欲していたのは、そういう意味での幸福だったのではないだろうか。
でも、人を信じることをやめてしまった彼が、それを手に入れられるはずもない。



さて、イルナムは人生の終わりにギフンに語ったことはこうだ。

子供のころは 友達と 何をしても楽しかった 時間が経つのも忘れたよ

死ぬ前に もう一度だけ味わいたかった

観客席に座っていては決して味わえない気分を



友達と遊ぶことが楽しかった頃のイルナム少年は、まだ人を信じていたはずだ。
やがて大人になり、経済的な成功を収め、欲しいものは全て手に入れた。
しかしその過程で、彼は「人を信じること」をやめてしまった。
それは、子供のころに感じた純粋な「楽しさ」を成功の過程に見出せなかったということ。

人生の終わりに「子供の頃が一番楽しかった」と感じるイルナム。
それは不幸な人生だったのだろうか。
それとも、楽しかった時期があるというだけでも恵まれた人生だったのだろうか。

あるいは、人生の終盤にギフンと遊んだことで、子供の頃に感じた楽しさを再び味わうことができたのだろうか。

結局のところ、イルナムは死の間際の「最後の勝負」に負けた。

それは「人を信じることの勝利」という、この物語におけるの唯一の希望であると同時に、イルナムの人生における「後悔」を浮き彫りにした結末でもあった。


静かに逝ったイルナムの孤独だけが、だたっ広い部屋の中に浮かんでいるような、そんな最後だった。

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オ・イルナムのカンブだったギフンを演じたのはイ・ジョンジェ

彼は「イカゲーム」で、 ”カンペキな” ダメ男を演じています。

なのですが、もし「イカゲーム」のイ・ジョンジェしか知らないとしたら、是非観てほしい作品があります。
それは、Netflixで配信されている「補佐官」

イ・ジョンジュ演じる、政治家の敏腕補佐官チャン・テジュンは、ギフンとは真逆のキャラクター。
そのギャップに驚くこと間違いなしです。

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  • ただ悪より救いたまえ(映画・2020)
  • 代立軍 ウォリアーズ・オブ・ドーン(映画・2017)
  • オペレーション・クロマイト(映画・2016)
  • 暗殺(映画・2015)
  • 観相師(映画・2013)
  • 10人の泥棒たち(映画・2012)
  • ハウスメイド(映画・2010)
  • トリプル(ドラマ・2009)




「10人の泥棒たち」「暗殺」「ハウスメイド」などの作品ではワルイ奴として登場し、「イカゲーム」「補佐官」とは一味違うイ・ジョンジェの演技が楽しめます。
若き日のジョンジェのセクシーさ、ワルイ目つき(役柄による)を見るにつけ、彼の俳優としての幅を改めて。

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本ページの情報は2022年5月現在のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。

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  • この記事を書いた人

ミント

ブロガー | ドラマや映画について発信 | 2020春『愛の不時着』にどハマりし、韓国ドラマ沼へ | exciteニュースに『愛の不時着』考察記事複数掲載 | 脚本 | Netflix | U-NEXT | Amazon Prime Video | WATCHA | 人生の栄養になるドラマ・映画を紹介していきます。 note URL▶︎https://note.com/mint_aria/

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