2021年公開作品の中で、特に心揺さぶられた映画「ファーザー」について紹介します。
この記事の内容
- 映画「ファーザー」の概要
- 映画「ファーザー」の考察
- 映画「ファーザー」を配信している動画配信サービス
映画「ファーザー」概要・予告編・登場人物(キャスト)・見どころ
作品概要
タイトル | ファーザー |
監督 | フロリアン・ゼレール |
脚本 | フロリアン・ゼレール・クリストファー・ハンプトン |
キャスト | アンソニー・ホプキンス オリヴィア・コールマン 他 |
製作年・国 | 2020年・イギリス/フランス合作 |
上映時間 | 97分 |
映画タイプ | ヒューマンドラマ |
おすすめ度 | 💠超おすすめ |
映画「ファーザー」は監督フロリアン・ゼレールが2012年に発表した戯曲を映画化した作品。
認知症による記憶の喪失・混乱に苦悩するアンソニーと、変わりゆく父を見守る娘アンの葛藤が描かれます。
第93回アカデミー賞では作品賞を含む6部門にノミネートされ、このうち主演男優賞(アンソニー・ホプキンス)と脚色賞を受賞しました。
登場人物 (キャスト)
登場人物紹介
アンソニー(アンソニー・ホプキンス)
認知症を患っている。どの介護人ともうまくいかず、娘のアンを困らせる。
アン(オリヴィア・コールマン)
アンソニーの娘。認知症の父の面倒を見ていたが、恋人とパリで暮らすことに。ロンドンに一人父親を残していくことが心残り。
映画「「ファーザー」ココが見どころ
見どころポイント
- 認知症患者の視点で描く「認知症の世界」が斬新&脚本が素晴らしき
- アンソニー・ホプキンスの圧巻の演技
- 変わっていく父を見守る娘アンの苦悩と絶望が胸に突き刺さる
認知症をテーマにした作品は今までもあった。
でもその多くは、認知症患者の家族の視点から描かれたもの。
「ファーザー」は、認知症を患っている主人公アンソニーの視点から、認知症による混乱の世界を描いているという点で新しい。
周囲に対し疑心暗鬼になり、被害妄想を抱くアンソニーの恐怖を体感する一方で、変わっていく父を絶望と共に見守る娘アンの気持ちに同情する。
つまり、アンソニーからは老いることの残酷さを、アンからは認知症の家族を抱える辛さを見せつけられ、鑑賞者は胸を締め付けられるのだ。
認知症患者の視点から「喪失の過程を生きる不安」を体現する作りが見事。
そして、アンソニー・ホプキンスの演技が圧巻なのはもちろん、娘アンを演じたオリヴィア・コールマンの存在感が、観る者の共感を呼ぶ作品だ。
映画「ファーザー」考察 「失うこと」について(ネタバレあり)
すべての「葉」を失っていく
この作品を時系列に捉えるならば、娘であるアンの視点で物語を追う必要がある。
出来事の流れは以下の通り。
- 介護人(アンジェラ)とアンソニーが衝突し、介護人が辞めてしまう
- アンソニーにパリで暮らすことを伝えるアン
- アンソニーを一人にしておけないアンは、一時的に恋人と暮らす家にアンソニーを連れてくる
- 新しい介護人(ローラ)をアンソニーが気に入るも、アンソニーの症状は悪化
- 結局、アンソニーは介護施設に入り、アンはパリへ
しかしこの作品はアンソニーの視点で描かれているので、上記の時系列が曖昧になる。
よって、鑑賞者はアンソニーと一緒に記憶の迷路に迷い込むことになる。
その構成こそが、アンソニーの混乱を表現する手法として絶妙。
アンソニーの気持ちを鑑賞者が疑似体験することに貢献している。
さて、アンソニーの症状は悪化の一途をたどる。
次女の死を忘れ、「時計を盗まれた」と被害妄想を起こす。
アンのこともさえもわからなくなる時もある。
一方で、嫌な体験(介護人とうまくいかない)などは、はっきりと覚えている。
これだけでもアンが抱える苦しみは想像に難くない。
変わっていく父を受け入れることは簡単ではないはず。
そういう意味で、アンの苦しみは認知症側ではない多くの鑑賞者にとって共感が容易だ。
一方で、アンソニーの症状を見て恐怖を抱く。
それは、未来の親の姿かもしれないし、あるいは自分自身の姿かもしれないからだ。
ところで、混乱するアンソニーの記憶は曖昧で、且つ何度も同じところに舞い戻る。
記憶力と認知力の低下は自信の喪失につながり、混乱は更に強くなる。
物語終盤、施設で暮らすアンソニーが、介護人にこう尋ねる場面がある。
「私は誰なんだ?」
人は必ず老い、そしていつか死を迎える。
その過程で、得たものを少しづつ失っていく。
「すべての葉を失っていくようだ」
これはアンソニーに悲痛な叫び。
記憶を失っていくことは、木の枝や葉が落ちるがごとく、自身が剥がされていくような感覚なのだろうか。
その苦しみと悲しみを想像するだけで胸が苦しくなる。
そんなアンソニーは、「ママに迎えに来て欲しい」「家に帰りたい」と泣きながら訴える。
涙を流す彼が理解していることは、自分がいるべき場所は此処(介護施設)ではないということ。
そして、自身の最後の拠り所として、腕時計を右腕にしていることも。
混乱の中で「母」を求めるアンソニーが求めている場所とはどこなのか。
それは数十年暮らした愛着のあるフラットであり、忘れてしまった記憶の中にいる「かつての自分」だ。
しかしそれは叶うはずもない。
アンソニーは、介護人に助けられながら、言われるがままに着替え、散歩をし、食事をして、ベッドで眠る。
そして、混乱したり平静を取り戻したりを繰り返しながら生きていくのだ。
最後の日を迎えるその日まで。
「長いお別れ」と「ファーザー」の世界観の違い
認知症をテーマにした別の作品について記しておきたい。
それは「長いお別れ」という映画。
この作品で描かれる認知症の世界観は「ファーザー」とは全く別のものだ。
まず、認知症を患う山崎努演じる「父」が悲観的ではない。
彼は彼の世界を彼のペースで生きている。
家族たちは彼のペースを尊重し、認知症になった父を受け入れる。
緩やかに、そして優しく描かれる家族の物語の裏には、変わっていく父を受け止めるまでに長い時間を要したのかもしれない。
でもそれがこの作品のメインテーマではない。
「このごろね、いろんなことが、遠いんだよ」
そう語る父は、どこまで自分の状況を理解しているのかわからない。
しかし、家族は変わってしまった父が「昔の父に劣る」というような考え方はしない。
変わりゆくこと、老いることをそれぞれに受け入れているのだ。
その時間を「長いお別れ」として捉えている。
「ファーザー」で描かれる世界観、そして「長いお別れ」の世界観、そのどちらもその通りなのだろうと思う。
誰の視点で描いた作品かということもさることながら、認知症患者の数だけ物語があるわけで、そのすべてが真実だと思うからだ。
そして、共通して言えることはただ一つ。
人は日々、確実に老いていく。
そして、ある時点から、それまでの人生で得たもの、あるいは本来備えていたものを、「失っていく過程」を生きていくのだ。
映画「ファーザー」を配信している動画配信サービス
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