『今、別れの途中です』観了後の考察と感想です
(辛口)
この記事の内容
- 『今、別れの途中です』作品紹介
- 『今、別れの途中です』辛口考察&感想
『今、別れの途中です』の概要・あらすじ・登場人物(キャスト)・見どころ
作品概要
タイトル | 今、別れの途中です |
監督 | イ・ギルボク |
脚本 | ジェイン |
キャスト | ソン・ヘギョ チャン・ギヨン チェ・ヒソ 他 |
製作年・国 | 2021年 韓国 |
エピソード | 16エピソード |
配信時間 | 1エピソード:約64分 |
ドラマタイプ | ラブストーリー、メロドラマ、人生 |
おすすめランク | 🎦趣味はひとそれぞれ |
あらすじ
ドラマ『今、別れの途中です』は、愛し合いながらも運命に翻弄される男女を描いたラブストーリー。
自分が立ち上げたブランド「SONO」のチーム長兼デザイナーとして活躍するハ・ヨンウンは、過去に恋愛で傷ついた体験から、恋よりも仕事に生きている。
そんな彼女が、パリで活動する人気のファッションフォトグラファー、ユン・ジェグクと出会い恋に落ちるが・・・。
登場人物(キャスト)
主な登場人物
ハ・ヨンウン(ソン・ヘギョ)
THE ONEのトップブランド「SONO」のチーム長兼デザイナー。仕事ができる賢い女。
ユン・ジェグク(チャン・ギヨン)
パリで活躍するファッションフォトグラファー。ヨンウンに出会い彼女を愛するようになる。
ファン・チスク(チェ・ヒソ)
THE ONE創業社長の娘で同社の理事。ヨンウン、ミスクの親友。恋愛至上主義のお嬢様。面食い。
ソク・ドフン(キム・ジュホン)
PR会社社長。ジェグクを弟のように可愛がっている。垢抜けないが、仕事のできる誠実な男。
チョン・ミスク(パク・ヒョジュ)
ヨンウン、チスクの親友。元モデル。現在は専業主婦。家事や子育てに追われ疲れている。
『今、別れの途中です』ココが見どころ
見どころポイント
- 揺れ動くヨンウンの心情と、一途なジェグクの恋の行方
- 敏腕チーム長ヨンウンがどんな困難にも立ち向かっていく姿、彼女の成長
- 一途で優しい男を演じるチャン・ギヨンのカッコ良さ
- 華やかなるファッション業界で活躍するヨンウン、チスクのファッションが目の保養
「ソン・ヘギョ&チャンギヨン主演の大人のラブストーリー」とくれば、それだけで期待値が上昇。実際に、ソン・ヘギョの美しさに魅了され、チャン・ギヨンの痺れる低音ボイス&美しき佇まいにうっとりする。
そんな彼らが演じる、ヨンウン(ソン・ヘギョ)の揺れ動く心情の描写と、ジェグク(チャン・ギヨン)の一途な想いがこのドラマの見どころだ。
そして、ヨンウンのデザイナーとしての成長が、もうひとつの物語の柱。
それを通じて「ヨンウンの生き方」そのものが描かれ、こちらも見どころのひとつと言える。
脇を固めるキャストも豪華。
人の良いPR会社の社長ソク・ドフンを演じたキム・ジュホンは、ドラマ『ボーイフレンド』に続き、ソン・ヘギョとの共演。
同じく、ヨンウンとジェグクの母親役である、ナム・キエ、チャ・ファヨンも『ボーイフレンド』に出演しており、馴染みのキャストが多数。
ヨンウンの親友チスクを演じたチェ・ヒソは、映画「金子文子と朴烈」でブレイクした女優。このドラマでは「思い込みが激しく感情的な三枚目キャラ」に挑んでいる。
『今、別れの途中です』は、Amazon Prime Video で配信されています
『今、別れの途中です』の辛口考察&感想(ネタバレあり)
ネタバレを含みますので、『今、別れの途中です』視聴後にご覧ください。
『今、別れの途中です』は私にとって「ちょっと残念なドラマ」だった。
キャストが素晴らしいだけに、もう少しやりようがあったのではないかと思わずにはいられない。
私は基本、心動かされたドラマでなければ感想を書かない(書けない)。
しかし、『今、別れの途中です』については、「残念」と思う反面、その感想や考察を書き留めておきたかった。つまるところ、残念だけど、気になるのだ。
そういう意味においては、このドラマに「心を動かされた」と言えるのかもしれない。
ここでは、『今、別れの途中です』に、なぜ残念さを感じてしまうのかについて考察したい(ちょっと辛口)。
多くを盛り込みすぎたことが「残念」の一番の要因
この物語の軸は、ヨンウンとジェグクのラブストーリー。
視聴者が期待しているのも間違いなくそこ。
しかし、『今、別れの途中です』は肝心なその部分が弱い。
理由は、二人のラブストーリー以外の要素を盛り込みすぎているから。
まずは、この物語を形成しているエピソードをざっくり挙げてみる。
- ヨンウンとジェグクの恋愛
- ヨンウンのキャリアと夢の実現
- チスクとドフンの恋愛
- ミスクの病気と永遠の別れ
- ヨンウン両親の離婚騒動
ひとつづつ解説する。
1️⃣「ヨンウンとジェグクの恋愛」は物語の主軸。
つまりは必須エピソード。
次に2️⃣「ヨンウンのキャリアと夢の実現」と3️⃣「チスクとドフンの恋愛」について。
2️⃣はヨンウンとジェグクが出会うきっかけとも密接に関係しており、また、ヨンウンがどういうキャラクターであるかを表現するため重要だ。
3️⃣についても、16話の長きを乗り切るには、なくてはならないエピソードだろう。
しかし、4️⃣「ミスクの病気と永遠の別れ」と5️⃣「ヨンウン両親の離婚騒動」はいらない。もしくはもっと扱いを小さくすべきだった。
たとえば4️⃣「ミスクの病気と永遠の別れ」。
「ミスクの病気と死」の方が、よっぽど『今、別れの途中です』というタイトルにマッチしたエピソードになってしまっている。結果、主軸であるはずのヨンウンとジェグクのラブストーリーを完全に食ってしまった。
(実際のところ、私がこのドラマで感情移入して泣けたのはミスクのエピソードだけだ)
加えて、ここには、アラフォー女たちの友情物語まで盛り込まれているので、ますます印象深いエピソードになってしまう。
けっしてミスクのエピソードが悪いわけではない。サイドストーリーとしてはインパクトが強すぎるのだ。主軸のラブストーリーこそが、常に物語の中心になければ視聴者の感情は迷子になる。
そして、5️⃣「ヨンウン両親の離婚騒動」。
正直、このエピソードはいらないと思う。
そもそも、あってもなくても物語の進行に影響を及ぼさない。にも関わらず、長きにわたる結婚生活で鬱屈がたまった母の心情が妙にリアルで、こちらも主軸を侵食しかねない要素を孕んでいる。もし、ヨンウンの親たちの『別れの途中』を描きたかったのならば、そういう意味では完全に失敗してしまっている。
結局のところ、多くを盛り込みすぎたことで、軸がブレたというのが「残念」と感じる最大の要因。
それによって物語の一貫性が損なわれた部分が、少なからからずある。
ちなみに、2️⃣「ヨンウンのキャリアと夢の実現」と3️⃣「チスクとドフンの恋愛」。
こちらは、必要なエピソードあることには違いないが、この物語における立ちが位置微妙。
というのも、主軸の恋愛よりも躍動感があって面白いのだ。ファッション業界で成功していくヨンウンの姿には共感できる要素は多々あったし、チスクとドフンの恋はサブのラブラインとしては上出来だった。
そうかんがえると、やはり、主軸となるラブストーリーが弱いのだろう。
恋愛におけるヨンウンの成長が見えづらい、そして心情の変化に一貫性がない
では、なぜ主軸となるラブストーリーが弱いのか。
いろいろと要因はあるが、細かいところを突くのではなく、主人公であるヨンウンを中心に考えてみたい。
ハ・ヨンウンは現実的で、賢い女だ。
言うべきことはハッキリ口にするが感情的ではない。むしろ感情を抑え込むタイプ。
大人の女としては魅力的だと思うが、ドラマの主人公としては、感情が読みにくすぎるという難点がある。特に、ジェグクに対しての感情が平坦に感じるのは私だけだろうか。
仕事関係者や元恋人スワンの婚約者の前では強気で意思ある女の部分が強調されるが、ことジェグクに関しては急に「普通」になってしまい面白みに欠ける。
それは「過去に負った傷が関係している」という設定なのかもしれないけど、ジェグクとの関係を悩む際のヨンウンの心の揺れがパターン化しているのも気になった。
いずれにしても、恋愛に関し、ヨンウンが自分の殻を打ち破ることはなく、激しい感情をぶちまける場面もない。恋愛においては成長しているのか現状維持なのかが分かりにくいのだ。
また右葉曲折あった結果として、「自分の夢を追いかける」というラストはいいと思う。でもそれは、恋愛でガッツリ感情を出し切ってからであってほしかった。
主軸であるラブストーリーを置き去りにして、自己実現に走ってしまっているところが、ラブストーリーとしての体をなしていないし、ヒロインの心情の変化に一貫性が感じられない(辛口)。
違うドラマを例に考えてみる。
たとえば、チャン・ギヨンが出演したドラマ『恋愛ワードを入力してください』。
このドラマも、ヒロイン、タミの「仕事と恋」、その両方を描いている。
『恋愛ワードを入力してください』の場合、タミの生き方(タミは非婚主義者)とそれに真っ向から挑む年下男モゴンとの恋愛という、ロマンスにおける障害がそれぞれの思想に基づくゆえにハッキリしている(親の反対など、周囲に意向に影響されていない)。
そして、「仕事」や「自己実現」はタミにとっての骨格になっており、進むべき方向性も明確。
そもそも、それらを諦めるという選択肢さえ登場しない。その一貫性こそが、ドラマにおいて、ヒロインに共感する大切な要素だ。
一方のヨンウンはどうか。「現実的な決断をしたヨンウン」ではあるが、何が彼女にとって一番大切なのかがぼんやりとしている。もしかすると、白黒つけがたい微妙な感情を描きたかったのかもしれない。だとしても、ヨンウンの心情の変化は見えづらく、それはすなわち、ヒロインであるにもかかわらず、ヨンウンが視聴者に共感されにくい状況を作ってしまっていることになる。
また、「年下のイケメンに一途に愛される、なかなか心を開かない女」という設定が、ソン・ヘギョ主演のドラマ『ボーイフレンド』と似通っていて、既視感があるのも辛いところだった。
『今、別れの途中です』というタイトルについて
『今、別れの途中です』
このタイトルを見た時、「秀逸だ」と思った。
悲恋を匂わせる思わせぶりなタイトルは意味深だし、興味をそそる。キャストの豪華さもさることながら、このタイトルが作品への期待値を一気に引き上げたのは間違いない。
そして、第2話。
ジェグクにスワンとの関係を告げるヨンウンの口から「今、別れの途中です、その人と」という言葉が出てきた時には、この言葉の持つパワーにゾクっとしたほどだ。
しかし、その後のドラマ展開を観て、残念な思いがした。
というのも、ドラマの内容が「タイトルに引っ張られすぎ」なのだ。
ヨンウンとジェグクの関係や、二人の会話に頻出する「別れ」に関するやりとりも、タイトルに合わせて取って付けた感がある。そしてラスト。「私たちは 今、別れの途中だ」と、ヨンウンの心の声として表現するあたり、辻褄合わせのように感じてしまう。
また、「ミスクの病気と死」のエピソードは、『今、別れの途中です』を表現できる別のストーリーを盛り込むためだったはず。しかし、前述の通り、ミスクのエピソードの方が主軸の二人のストーリーの「別れの途中」よりも、納得感のある内容になってしまった。
いずれにしても、ラブストーリーとして「別れの途中」を描くことがこの作品のコンセプトだったのならば、そこにもっとフォーカスすべきだった。「別れるまでの期間を仲良く過ごす」などという、生ぬるい関係を描くのではなく。
ところで、タイトルである「今、別れの途中です」を秀逸だと感じる、あるいは共感するのは、この世に生きている全ての人が、別れの途中を生きていると思うからだ。
たとえば、私たちは生まれたその時から死に向かって生きている。
日頃意識することはないけれど、それは紛れもない事実だ。
それが何を意味するかといえば、人生で出会った人とはいつか必ず別れる運命にあり、生きるすべての時間は常に誰かとの別れの途中だということ。
だからこそ、誰もがこの言葉を自分自身に置き換えて共感することができる。
「私は今、大切な人たちとの別れの途中を生きている」
そう感じることは、視聴者にとっても新たな気づきに繋がるわけで。
そんな可能性を秘めたタイトルだからこそ、この作品を惜しいと思ってしまうのかも。
さて、ここまで、『今、別れの途中です』の残念と感じた部分をつらつらと書き連ねてきたが、悪いところばかりではなかった。
たとえば、心に響くセリフが数多く登場したし、一途な男ジェグクを演じたチャン・ギヨンの笑顔には癒された。そして、なんだかんだと続きが気になるドラマでもあり、結局は完走した。
物語の内容としても、ヨンウンが自己実現をしていく姿には、ジェグクとの恋愛では見せなかった「成長や一貫性」を感じたし、チスク&ドフンカップルのハッピーエンドは清々しかった。
つまるところ、残念さが気になるのは、良い部分が多々あったからこそなのだ。
次は、ぜひ、全く違うタイプの役を演じるヘギョ様を観たいと思うのであった。
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